A1-Pictures制作のオリジナルアニメーション【リコリス・リコイル】の主人公【錦木千束】は秘密機関DAで歴代最強と言われるリコリスですが、とても人として魅力的な生き方をしています。今回は千束の生き方、価値観、考え方で印象に残ったものを書いていきたいと思います。
毎日毎日、生きることに精一杯の方、何かのきっかけになれば幸いです。
一話より
「今日も天気で私も元気、ありがたい!」
朝にカーテンを開けて、街が明るくなってきた頃の一話冒頭にて、千束が言った最初の台詞です。オリジナルアニメーションということで、ホームページ等で事前にキャラ紹介もありましたが、本編初視聴のこの一言は千束の生き方や明るさが感じられました。
朝が来ること、天気がいいこと、今日も元気で始まる一日に感謝すること、大人になって本を読むとよく書いてあることではありますが、なかなか実践している人は少ないのではないでしょうか。
特に朝から気持ちが落ち込んでいる状態で過ごすのと、千束のように今日も元気、ありがたいと思って過ごすその日はきっと雲泥の差になるでしょう。人それぞれ、状況は違うかもしれませんが、自身の捉え方は変えていけるはずです。
一話より
「食べモグの口コミでこの店、ホールスタッフが可愛いって! これ私のことだよね!」
喫茶リコリコの口コミを見て、千束が喜んでいた台詞です。口コミだけでなく人からの評判は誰しも気になることでしょう。謙遜するでもなく私のことと感じられる自己肯定感の高さは見習いたいところです。
仲間のミズキからは「お前のことじゃねーよ」と言われて「冗談は顔だけにしとけよ酔っ払い」とお互いにちょっとキツめなジョークを言い合える職場環境も羨ましく思います。
一話より
「困ってる人を助ける仕事だよ!」
たきなに喫茶リコリコの業務に喫茶店、保育園、日本語学校、組事務所への配達と共通点が見出だせないと言われて千束が答えました。喜んでもらえるよ、と。助けを求めてる、と。
きっと千束にとって、喜んでもらえたり、自分にできることをやって誰かが助かるならやるのでしょう。ですが小説版リコリス・リコイルにて、『あくまで依頼……助けを求められた場合のみ』と依頼されなければ動かない様子が描かれていました。でも色々と裏で動いていたり、平和な日常を守りたい千束の──喫茶リコリコのメンバーの想いを感じます。
一話より
「事件は事故になるし、悲劇は美談になる」
千束達リコリスが所属する組織DAは全てのインフラの優先権を持つ最強AIを持ち、国の裏側から平和を維持しています。何が起きてもカバーストーリーが表に流されて、たきなが武器商人達を取引現場で機銃掃射した事件もガス爆発の事故として処理されていました。
この時ばかりは千束の語り方も少し影を感じます。幼少期からリコリスとして数々の事件に関わり、多くの事を見てきたのでしょう。
これはアニメの中に限らず、現実の世界中で、それこそ歴史の裏には数えきれない【事故と美談】がある可能性を思うと、今ある社会の見方も変わってくるかもしれませんね。
一話より
「仲間を救った! かっこいいって!」
たきなが武器商人達を機銃掃射で全員始末してしまったせいで、武器の行方が判らなくなってしまいました。そもそも機銃掃射した理由は、仲間のリコリスが商人達に人質にされ、DA本部からの待機命令に痺れを切らしたたきなの判断ゆえでした。
たきなにとっては仲間を助けて悪人を始末したことですが、DAにとっては商人達は尋問するために生かして捕らえたかったのです。最良は仲間を助けて商人達を生きて捕らえる事だったかもしれませんが、あの時のたきなからしたら仲間を助ける事が最優先だったのでしょう。千束もそれを汲み取って、かっこいいと認めているのだと思います。
一話より
「命大事に、だからね」
物語が進むに連れてその理由も明らかになっていきますが、千束の根元的な価値観になっています。
武器取引現場の写り込みを知らずにSNSへ投稿してから脅迫されていたサオリさんを護衛する際、千束がたきなに伝えたことです。そのたきなは殺される事はないと考えて護衛対象を囮にしたり、車に連れ込まれたサオリさんに銃弾が当たる危険があるにも関わらず車に連射したり、全く命を大事にする気がありませんでした。
それもそのはず、たきなにとって命を大事にするということは、自分や仲間、仕事の範疇での話で、他は含まれていなかったのです。対して千束は、自分はもちもん敵に対しても命を奪うことや致命傷を与えることはせず、敵の止血まで戦闘中にやっていました。そして非殺傷段で全員倒した後に【クリーナー】と呼ばれる現状回復の事後処理をする業者を手配していました。DAに連絡したら殺されてしまうから、らしいです。
個人的に千束が敵の銃弾を見切って避けたり、華麗に制圧するシーンは好きですが、住宅街での銃声はどう誤魔化したのでしょうか(笑)
二話より
「今日、夕飯は誰と?」
二話では喫茶リコリコへ最強ハッカーと名高い【ウォールナット】から警護と国外逃亡支援の依頼を受けた千束とたきな。二話はアクション多めでしたが、その中で襲撃チームとの戦闘でたきなに負傷させられた敵のリーダーに対して千束が「手当てする」と応急処置を始めます。
敵も「からかってるのか」と困惑してましたが、「じゃあ死にたいの?」と千束に銃口を向けられておとなしくなりました。その時の千束が「今日、夕飯は誰と?」と世間話を始めました。ついさっきまで命のやり取りをしていたのに、千束は自然体です。その雰囲気に敵のリーダーも「家族だ」と素直に答えます。千束も「いいねぇ」と和やかに返していました。千束の命大事に、いつでもどこでも通常運転。この時も非殺傷弾で誰一人として殺傷はしていませんでした。
去り際に「鉄分摂れよ」と最後まで気遣っていました。その気持ちが伝わったのか、敵もこの先に待ち伏せが控えていること、ウォールナットが被弾した際も千束達は見逃すようチームに指示し、「メシを食いに行こう」と手当てされた所を撫で下ろしていました。
二話より
「あの人達も、今回は敵だっただけだよ。誰も死ななかったのは良かった良かった」
たきなから命大事に、という方針は無理があると指摘され、「目の前で人が死ぬのはほっとけないでしょ」と言う千束にたきなも「リコリスは殺人が許可されています」と反論します。敵なら殺してもいい、そういう訓練をしてきたのでしょう。それでも千束は「今回は」と付け加えます。互いに役目を果たす為に動いて、結果的にウォールナットが殺害されたように見せかける作戦も成功、喫茶リコリコのメンバーも襲撃チームも死者は出ませんでした。
千束の命大事に、は各話で描写されているので物語で大きなテーマになっていると思いますので、注目して視聴していくと面白いです。
三話より
「たきな、今は次に進む時。失うことで得られるものもあるって。たきながあの時ああしなかったら、私達は出会えなかったよ」
「私は君と会えて嬉しい! 嬉しい嬉しい!」
「誰かの期待に応えるために悲しくなるなんてつまんないって! 居場所はある。お店の皆との時間を試してみない? それでもここがよければ戻ってきたらいい。遅くない。まだ途中だよ。チャンスは必ずくる。その時、したい事を選べばいい」
「私はいつも、やりたいこと最・優先! まぁそれで失敗も多いんだけど。今はたきなにひどいこと言ったアイツらをぶちのめしたいので、ちょっと行ってきますよ」
特に「誰かの期待に応える為に悲しくなるなんてつまんないって!」というのは本当に勇気付けられる言葉でした。正直、ここの千束には自分も救われました。毎日仕事に追われ、成果を出す事が当然で出来ないと言うには立場的に難しくなり、周囲の期待から何とかするのがプレッシャーになっていました。
でも千束の言葉は「ああ、そっか」とまるで自分に言われたように府に落ちました。社会人を何年もやっていて思考が凝り固まってしまい、視野が狭くなっていました。そんな時にリコリス・リコイルに──千束という登場人物に惹き込まれたのです。言葉はもちろん、アニメーションとしての演出、千束の嬉しいと伝える表情、どれも素敵でした。誰かに出会って、嬉しいと直接伝える事も伝えられる事も少ないのではないでしょうか。この満面な笑顔の千束は最高だと思います。
今、何かに悩んでいる方、何か努力している方、頑張ったけど報われなかった方等、様々な方に届くシーンだと思うので、ぜひ一度このシーンだけでもいいので視聴をオススメします。
この時のたきなは、実力を認められてDA本部へ移転して来ましたが、仲間を助ける為に動いた結果、命令違反でリコリコへ異動を命じられ、どうやって評価を得て戻るかを考えていました。きっと周囲から命令違反や独断行動の批判を受けていたのでしょう。自分が正しいと思って行動したのに、評価どころか批判されてしまうのは多くの人が経験あるのではないでしょうか。
そんなたきなに千束は「ああしなかったら、私達は出会えなかったよ」と伝えています。理想とは違っていたかもしれないですし、どうして自分がと苛立っていたかもしれませんが、その行動は無意味じゃなかったと千束が肯定してくれています。現実も同じだと思います。だから千束は前に進む時ではなく、今は次に進む時と言ったのでしょう。今まで頑張ってきた事も認めた上で違う道もあると、目の前ばかりに気を取られ、立ち止まって周囲を見渡す時間を思い出させれくれた気がしました。こうあるべき、そうしないといけない、そんな固定観念を考え直すきっかけになりました。
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引用元
🄫Spider Lily/アニプレックス・ABCアニメーション・BS11
【リコリス・リコイル】
アニメ公式サイト
https://lycoris-recoil.com/
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